えさでつる

さおは一本ざおで、自分で作ることもありました。細い竹に糸(テグスやたこ糸)をつけ、はりとおもりをつければでき上がりです。
つなぎざおといって、1メートルほどに区切ったさおを3〜5本もつないで長くするさおは、子供たちにはぜいたく品でした。
えさは、ミミズやサシなどをつかいました。 同じえさでつる方法でも、ナマズつりは少しちがった方法でした。
長さ4〜5メートルくらいのさおの先に、糸を結び、大きめのつりばりをつけます。
つりばりには、えさとしてカエルをつけました。一番いいえさはアカガエル、次はトノサマガエル、ドブガエルの順でした。
つるときは、さおをゆっくりと上下に動かして、カエルを水面にポチャン、ポチャンと落とします。
すると、ナマズがこのカエルにとびついてくるのです。
ナマズつりは、このしかけと同じものを、夕方、岸べにさしておいて、朝とりにいく方法もありました。

手づかみでとる

つりざおはなくても、魚はとれました。川の中にある石の下に両手をつっこんで、両手をだんだんにせばめていきます。
そして、かくれている魚をグッと握るようにしてつかまえるのです。 魚をつかまえると、魚が手の中でブルブルと動きます。
魚が手の中でブルブルッと動くと、"ヤッター!"と、最高の気分でした。
でも、うっかりしていると、魚がヌルッとすべってにげてしまうこともありました。
そのときは、ほんとうにくやしい気持ちになりました。
そして、"絶対に、もう一回つかまえてやる!"という気持ちになり、 ひっしになって石の下にかくれている魚をさがしました。

ザルやあみですくう

今は、小さなタモあみをつかっていますが、そのころは、タモあみがなかったので、台所などでつかい古したザルをつかいました。
川の中に草が生えているようなところを見つけると、岸とすきまをつくらないようにザルをおきました。
ザルの中へ魚をおいこむようにして、足で草のあたりを踏みつけます。
ザルの近くまで足でふんできて、魚が入ったころを見はからって、サッとザルをあげます。
フナやドジョウなどがよくとれました。
また、大人の人たちは、投網(とあみ)をつかいました。
投網(とあみ)は風下の方に向かってうちますが、じょうずに魚がとれるかどうかは、 投げたあみが広くひらくかどうかにかかっていました。
投網(とあみ)は川の淵(ふち)や瀬でうちます。瀬でうつときは、大きな石がごろごろしているところではなく、
小石や砂地などのところを選びました。
あみの中に入った魚が、あみと石のすきまから逃げてしまうからです。
そして、そこに魚がいることを確かめてからうちました。

手ぬぐいですくう

この方法は、ザルやタモあみと同じようなとり方です。
メダカなどの小さな魚をとりました。
二人組になって、手ぬぐいの両はしを持ちます。泳いでいるメダカなどをさがし、その下にしずかに手ぬぐいを入れます。
そして、ゆっくりとすくいあげると、メダカなどが入っていました。

くぼみの水をぬいてとる

川の中には、少しえぐれたくぼみがあります。このくぼみには、魚が多くいました。
日照りが続いて、流れからとりのこされたくぼみがあると、くぼみの水をくみ出して、魚を手づかみでつかまえました。
また、石を並べてくぼみの方へ水が流れていかないようにし、同じようにして魚をつかまえることもありました。

ヤスでついてとる

箱メガネや水中メガネで、川や海の中をのぞきながら、底の方でじっとしている魚を見つけ、ヤスで魚をつきさしてとる方法です。
ヤスというのは、竹のえに弓の矢のような形をしたとがったものを1〜3本くらいつけたものをいいます。モリというところもあります。
ヤスは、自転車のタイヤについているスポークなどを材料として、金づちでたたいたり、と石でみがいたりして矢の先のような形を作ります。
それができると、太さ1.5センチメートルくらい、長さ1メートルくらい竹の先にしばります。これでできあがりです。
次に、川や海の中をのぞく箱メガネを作ります。
板で四角の箱を作り、底にガラス板をはりつけるとできあがりです。
注意しよう! ヤスでとる方法は、投げたヤスが石にぶつかってはねかえり、足にささるなどのケガをする場合もあります。 絶対に子供だけでやってはいけません。

わなをしかけてとる

筒(つつ)といって竹であんだビンのような形にしたものを川の底にしずめておき、その中に入った魚をとることもありました。
ウナギやナマズなどは、夜行性(やこうせい)の魚です。
昼は川の底や石の下などにかくれていて、夜になると行動します。
この性質を利用したのが、筒という"わな"です。この筒の中には、ミミズなどのえさを入れておきます。
ウナギやナマズは、夜になるとこの筒の中に入ってえさを食べます。そして、昼は筒の中にかくれていることもあります。
ですから、筒はウナギやナマズなどがかくれやすいところ、岸の近くで草が生えているところをねらってしかけます。
しかける時間は夕方で、よく日の朝早くに引きあげました。


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