(3)きせつやてんき わたしたちの地いきの人々は、むかしから、雲のようすや風のむき、山の雪の消え方など、自然のようすから、農作業の時期を知ったり、あしたの天気をよそうしたりしてきました。 妙高山のはね馬 冬の間につもった雪が、春になると、とけはじめます。5月の連休のころになると、妙高山の中腹に、前足を高くあげ、とびはねるようにした馬の形がみえてきます。これを「はねうま」といいます。
![]() 妙高のはねうま 農家の人たちは、春になると田うえのじゅんびをします。なえ作り・田おこし・しろかきなどです。田うえは、よい天気がつづき、気温が高くなる5月のれん休のころにはじまります。田うえが5月にはじまるというので、「さつき(5月の古いいいあらわしかた)」ともいいます。はねうまは、このころが一ばん形がととのい、はっきりと見える時期です。 でも、はねうまがでたからといって、かならずこのころに田うえができたというわけではありません。その年によって、天気や気温・雪や雨のふるりょうなどがちがうからです。 はねうまは、田うえがおわり、なえがしっかり根づくころになると、ふっくらとした体つきになってきます。そして、やくめをおえたはねうまは、妙高山の雪消えとともにきえていくのです。 南葉山のたねまきじいさん 妙高山のはねうまとおなじように、南葉山にも、春になると「てんまきじいさん」がすがたをあらわします。おじいさんが種をまいているようすににているので、この名前がついたのだそうです。南葉山は、学校の西側に見える、頂上がややたいらで少しまるくなっている山のことです。 農家の人たちは、この南葉山に「たねまきじいさん」のすがたがあらわれると、それまでにたがやしておいた畑にいいなえが育ちますように、じょうぶななえになりますように、そして、いい野さいができますようにと心の中でねがいながら、種をまくのだそうです。 南葉山がくもると 今では、テレビ、ラジオ、新聞などで、その日の何時ころには、どのような天気かということまで知ることができます。波の高さ、風向きや風の強さ、雨のりょうなども知ることができます。また、きょう、あしたのほかに、1週間、1か月、3か月もさきの天気をしることもできます。 このような天気予報ができる前から、そして、今でも、わたしたちの地いきの人たちは、南葉山にかかる雲のようすを見て、きょうの天気やあしたの天気をよそうしてきました。 ・ 南葉山のふきんに雲がなければ、あしたは晴れる。 ・ 南葉山に雲がかかると、あしたは雨がふる。 ・ 南葉山に黒い雲がかかりはじめると、もうすぐ雨がふる。 ・ 南葉山の朝焼けは、雨がふる。 ・ 南葉山が夕焼けにそまると、あしたは晴れる。 というように、南葉山を見ながら、天気をよそうしてきました。上越地方は、海に近いところや、山に近いところ、など、いろいろなところがあります。そのため、地いきによって、天気にちがいがあります。ですから、地いきによって、このようにして、きょうやあしたの天気をよそうしてきたのです。 この南葉山にかかる雲のようすから天気をよそうする方法は、たいへん科学的に考えられています。それは、日本の天気が、西の方から東の方へとかわっていくからです。テレビの天気予報で、気象衛星から送られてくる雲の動きを見ると、このことがよくわかると思います。 わたしたちの地いきでくらしていた、ずっとむかしの人たちは、南葉山の雲のようすを見ているうちに、きょうやあしたの天気を知ることができることに気づいたのでしょう。それが、親から子供へというようにして、むかしから伝えられてきたのです。 妙高山に雪3度 冬をむかえるころになると、「妙高山にはつ雪がふったね」などと、あいさつのかわりに雪の話がでます。 むかしから、妙高山や南葉山にふる雪を見ては、わたしたちの地いきに、雪がふるころをよそうしてきました。妙高山や南葉山にふる雪は、「冬をむかえるじゅんびをしなさいという知らせだからです。 それは、「妙高山に3度めの雪がふると、南葉山にはつ雪がふり、南葉山に3度めの雪がふると、わたしたちの地いきにも雪がふりはじめる」と、いい伝えられてきているからです。そして、この妙高山や南葉山の雪のようすを見ながら、雪がこいをはじめ、いろいろな冬をむかえるしたくをいそぐのです。 |